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杉並ワークス

Windproof Smock【Vol.2】

SASスモック/2003年製







今回は、コットン100%ギャバジン生地のSASスモックは、本当に使えるのか? という話になります。








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SASスモック/2003年製







イギリス軍は自国で開発、発明したモノは、いつまでも いつまでも 大切に使い続ける傾向があります。

コットン100%ギャバジン生地などは、その典型的な事例です。







イギリス軍をやっている方には陳腐な内容ですが、ギャバジン生地とは、どんな生地なのか? という話から。

バーバリーの創業者が発明した綾織の生地で防水性があるとされています。

防風・防水性に優れており、尚且つ丈夫なので登山家・探検家等に愛用されたと言われている生地です。

これはナイロン等の化学繊維が存在しなかった時代の話です。

ウィキペディアによると、1924年にエベレスト初登頂を目指した英国人・登山家もギャバジン生地で作られたジャケットを着用していた と記載されています。

1924年は、日本ですと大正13年。

イギリス軍は、そんな いにしえの生地で作られた戦闘服を使い続けているので、びっくり仰天です。

さすがに、イギリス軍の服は全てギャバジン生地なんてことはなく、俗にSASスモックと呼ばれるスペシャル・フォース向けの衣類に限定されていますが。







SASスモック/2003年イラク戦争余剰放出品







コットン100%ギャバジン生地のSASスモックは、最高の服!だと絶賛するミリタリーショップ等のセールストークを箇条書きしてみます。




・防風・防水性に優れている。

・完全防水ではないが、濡れてもすぐに乾く、乾きが早い。

・コットン100%なので通気性があり、蒸れない。

・現在のゴアテックス等の防水透湿素材に匹敵する高機能。

・天然素材なので肌ざわりが良く、そして何より軽くて着心地が良い。




概ね、こんな感じです。

なんだか とても良い服に思えてきますが、本当なのでしょうか?







デザートDPM迷彩ウィンドプルーフ・スモック







少なくとも、1982年のフォークランド紛争では、前述のセールストーク通りだったと思われます。

フォークランド戦で使われたSASスモック以外のイギリス軍DPM迷彩衣類は、P68コンバットスモック、パラスモック、フォークランドパーカーになります。







俗にフォークランドパーカーと呼ばれるECWパーカーは、P68コンバットスモックの着丈を長くして、フードを付けただけの服です。

着丈の長い服は戦闘不向きとされており、戦闘用というより、防寒用のパーカーですね。

ラベルにも コンバット の文字はありませんし・・。

パラスモックは、1970年代の終わり頃にデニソンスモックに代わって登場したパラシュート連隊専用のステイタス的な服です。

登場した頃のパラスモックは、パラシュート連隊にしか支給されなかったと言われています。

フォークランド紛争時、英国を発つ時に撮影された写真では、パラシュート連隊の兵士は全員パラスモックを着用しています。

(パラシュート連隊にしか支給されなかった為、生産数少なく、特にインペリアル・サイジングの70年代製造品は1年くらいしか作られていないとされており、メガ・レア入手困難品です。)







何れも、P68コンバットスモックと同じ生地で作られていますので、水濡れすると、なかなか乾きません。

そして けっこー重量がありますので重たい服です。

比較の問題になりますが、

フォークランド戦では、コットン100%ギャバジン生地のスモックが、重ね着のいちばん上に羽織るアウターとしては、いちばん軽量で防水性があったので重宝されたと思われます。

パラシュート連隊でも着用例があると、以前ブログに書きましたが、おそらく そういう理由からではないでしょうか。







2019年1月28日(月曜日)







フォークランド戦の頃ならいざ知らず、

90年代以降、ゴアテックス等の防水透湿素材が普及していますので、いくらなんでも もう ギャバジン生地の時代ではないでしょう。

防水性も、現代の基準では防水ではなく撥水性になると思われますし。







本当に今でも使えるのか?







2019年1月下旬、

2003年製のデッド品を雪山での撮影で使ってみました。







ロケ地は、長野県・霧ヶ峰です。

「霧ヶ峰」という名称のエアコンが存在しますが、これは霧ヶ峰高原みたいに涼しい という意味で付けられた名前ではないか? と思われます。

逆に厳冬期の霧ヶ峰は、厳しい寒さ ということになります。







2019年1月28日(月曜日)







雪山における私の服装ですが、

いちばん下は速乾素材(化繊)の登山用・防寒下着、上下着用(長袖&長ズボン)。

保温用の中間着は、イギリス軍タイプのウールセーター、その上にParatex素材のジャケット。

下は同じく Paratex素材のオーバーオール着用(掲載画像:右側のグリーン色のズボン)。

そして最後に、

コットン100%ギャバジン生地のSASスモックを羽織りました。







・・・ちなみに、

登山&アウトドアの書籍では、いちばん上に羽織るアウターは、ゴアテックス等の防水透湿素材を奨励しており、ギャバジン生地の衣類などは、一切、取り上げられていません。

というか、

ギャバジン生地を使用したアウトドア用衣類なんて どこのメーカーも作っていませんから。

世界中探しても、そんなの作って使っているのは、イギリス軍くらいだと思われます。







フォークランド撮影







結論から申しますと、

なんとか 及第点に届くかな? という感じです。







撮影終了後、SASスモックを脱ぐと、裏地まで雪が浸みており、びちょびちょに濡れていましたが、下のParatex生地のジャケットは一切、水濡れしていませんでした。

下に防水もしくは撥水性のある保温用のインナージャケットを着用すれば、SASスモック、雪山で使えると思います。

使えるというより、 まぁ使って 使えなくはない といった感じなのですが・・。







2019年1月28日(月曜日)







雪ロケを誤解している方がいるかも知れませんので、念のために記載しますと、雪ロケは雪山登山ではありません。

今回の場合、SASスモックだけでなく、その下のParatex生地のジャケットまで水濡れして体温を奪い始めたら、撮影中止で即、撤退です。

これが登山だと逃れようがないので、場合によっては危険な状態に陥りますが、ロケの場合、すぐに脱出可能です。

これが大きな違いですね。







それでも、私ひとりでは雪山なんて到底無理です。

目的地に着く前に、アイスバーンと化した山道で事故ってしまいそうですから・・。

そこで松本studio Raum のオーナー様にサポートを依頼しています。

今回の車は、いつものアルファロメオではなく、雪ロケ用のスズキ・ジムニーでした。







2019年1月28日(月曜日)







スタジオ・オーナー様は、長年オフロード走行を趣味にしている方です。

好きこそ物の上手なれ

なんて言葉ありますが、この方に任せておけば、雪山で立ち往生することなく普通に帰ってこれますので。







2019年1月28日(月曜日)







・・・余談になりますが、

Paratex(掲載画像:右側のグリーン色のズボン)は、英国のアウトドア・メーカーが開発した所謂ハイテク素材です。

イギリス軍は寝袋、サーマルウェア―等、

しつこく いつまでも いつまでも この素材を使い続けるような気がします。







2019年1月28日(月曜日)







・・・最後に、

撮影に使用して濡れた衣類は、後日、浴室で浴室乾燥にて乾かしたのですが、モデル女性が着用したDPM迷彩フォークランドパーカーよりも、私が着ていたSASスモックの方が断然早く乾きました。

これはフォークランドパーカーと比べると薄地なので乾きが早いんですね。

SASスモックは濡れても乾きが早いというのは、そういうことなんでしょう。







・・・20年くらい前、

初めてSASスモックを入手した際、頼りないくらい薄地だったので、がっかり した記憶が残っています。

SASスモック = 憧れのSASスモックだった時代なので、もの凄い立派な服を想像(妄想)していたんですね。

デニソンスモックのような厚地ではありませんので、確かに軽量です。

まぁ 軽くて着心地が良い とは、こういうことなんですね。







2019年1月28日(月曜日)




SASスモック/コットン100%ギャバジン生地




SASスモック/2003年製




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  1. 2019/08/03(土) 00:14:20|
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Windproof Trousers【Vol.2】

Windproof Trousers

2003年製/実物デッドストック新品








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2003年製/実物デッドストック新品







・・・私の知る限り、

デザートDPM迷彩のSASトラウザーズで、コットン100%ギャバジン生地が使用されている 最後のタイプになります。







入手は2003年。

袋入りの新品でした。

支給時のビニール袋に、2003年の印字がありますので、2003年製で間違いないと思います。







前回、紹介したスモックとペアで入手したのですが、

スモックと同価格だったので、ちょっと割高に感じたように記憶しています。

現在、安価で入手可能なデザートDPM迷彩のSASトラウザーズ(ウィンドプルーフ・トラウザーズ)は、2008年~2009年にかけて作られた製品で、ポリエステル50%、コットン50%の混紡生地が使用されています。

販売価格が安いのは、元々安いズボンなので 放出品になっても安い ということです。







SASトラウザーズ/2003年製







このズボンは、いわゆる Arctic型 なんですが、ラベルは下記の通りです。


TROUSERS COMBAT,
CAMOUFLAGE, WINDPROOF
(Modified), Desert DP







P68 ~ P85時代のウィンドプルーフ・アークティック・トラウザーズのデザインを踏襲していますが、S95以降、ラベルから Arctic の文字が消えてしまいました。

それから、

細部の仕様変更が行われています。

過去画像と重複しますが( 過去のブログ記事の画像を使用して )、簡単に比較してみたいと思います。







SASトラウザーズ/2003年製







真っ先に目につくのが、カナディアン・ボタンではないでしょうか。

S95以降、カナディアン・ボタンに変更されています。







しかし、

00年代に入ってから作られたクロスオーバーベルトのDPM迷彩ウィンドプルーフ・トラウザーズは、カナディアン・ボタンではありません。

S95以降、イギリス軍の衣類は全てカナディアン・ボタンに変更された

なんて

迂闊なことは書けませんね。

英軍は、例外&例外が存在しますので・・。







Windproof Arctic Trousers







ベルトループのボタンは廃止になりました。

それから、

お尻のポケットも無くなっています。







SASトラウザーズ/2003年製




Windproof Arctic Trousers




SASトラウザーズ/2003年製







ポケットは変わっていません。







Windproof Arctic Trousers




SASトラウザーズ/2003年製







フロント・ファスナーも従来通りですが、

右前のドレッシング(包帯)用ポケットは無くなりました。

これで本当に大戦型のデザインを踏襲している英軍トラウザーズは無くなった ということです。

( 一般的には、1984年に廃止になったP68コンバット・トラウザーズが、右前に包帯用ポケットが付く最後のタイプとされていますが・・。)







Windproof Arctic Trousers




SASトラウザーズ/2003年製




Windproof Arctic Trousers




Windproof Arctic Trousers




SASトラウザーズ/2003年製




SASトラウザーズ/2003年製





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  1. 2019/07/11(木) 19:11:25|
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Windproof Smock


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SASスモック

2003年製/実物デッドストック新品







・・・私の知る限り、

デザートDPM迷彩のSASスモックで、コットン100%ギャバジン生地が使用されている 最後のタイプになります。







SASスモック/2003年イラク戦争余剰放出品







入手は2003年。

袋入りの新品でした。

支給時のビニール袋に、2003年の印字がありますので、2003年製で間違いないと思います。







ラベルは下記の通りです。

SMOCK COMBAT
CAMOUFLAGE, WINDPROOF
(Modified), Desert DP







価格は99.99ポンド。

当時の為替レートは、1ポンド約200円くらいだったと記憶していますので、日本円で約2万円のスモックです。

これに日本までの送料を加算した金額が、実際の入手価格になります。







現在、国内で安価で販売されている ワイヤーフード、ランクタブ付きのデザートDPM迷彩ウィンドプルーフ・スモックは、2009年製です。

ポリエステル50%、コットン50%の混紡生地が使用されており、販売価格が安いのは、元々安い服だから 放出価格も安い ということです。

今回、画像掲載しているスモックに似ていますが、ブロント・両サイドにファスナーポケットが付くなど細部が異なります。

それから前述の通り、生地は完全に別物です。







SASスモック2003年製







SASスモックは、余剰放出があると市場に多く出てきますが、時間が経つと新品での入手が難しくなります。

今回、掲載しているスモック辺りでも、新品もしくはミントコンディション級のモノを探すのは一苦労だと思います。

あったとしても 決して 安くありません。

中古品なら安く買えますが、新品もしくはミントコンディション級になると それなりの値段します。

昔、高嶺の花だったSASスモックの値崩れが著しいと感じている方が多いかも知れませんが、コットン100%ギャバジン生地のDPMスモックは、値崩れしていないのです。







SASスモック




Windproof Smock




SASスモック




SASスモック/2003年イラク戦争余剰放出品





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  1. 2018/11/15(木) 20:56:52|
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